経口的減感作療法[特に卵の負荷テスト]について一言

田村医院 田村 仁

食物アレルギーの乳幼児が増えています。妊娠初期からの母親の胎内で感作と言う免疫現象を受けた結果か又は、早期に卵などのアレルギーを起こし易い食物を食べてしまった為に起こってしまいます。

A:胎児期のアレルギーの獲得については次の様な機序が考えられています。
母親が、妊娠中に例えば『卵』を毎日2個ずつ食べ続けると、卵の白身はとても強い抗原性があるので、胎盤を通じてこの『卵白』にたいしての抗体が作られてしまいます。
又その強い抗原性のために、胎盤から胎児のアレルギー体質を作るような状態を引き起こす物質が作られてしまいます。その結果アトピー性の皮膚炎、食物アレルギーや気管支ゼンソク等に生後早期に罹ってしまいます。

B:乳幼児期のアレルギーの獲得については、次のような機序が考えられています。
アレルギー性の素因[第11番目の染色体上にあると言われていますが、]を持っている赤ちゃんが、早期に『卵白』を摂取すると、赤ちゃんの腸は未だ大人の腸の様に成長していないので、『卵白』中の蛋白質を体内に入れてしまいます。すると体はこの蛋白質に対して、対抗する『抗体』という物質を作ってしまいます。これを、『感作された。』と言います。一度感作を受けてしまうと再び、『卵白』の入った食物を少しでも食べると、アレルギー性の症状がどんどん出て来ます。この段階で、皆さんは病院に来られます。従ってもっと以前から、既に『感作』は、受けている訳です。この様に既に獲得してしまった食物アレルギーを治す方法はあるのかについて考えて見ました。

まず現在の状態と、何に対してのアレルギーであるかを突き止めねばなりません。
血液検査をすると、IgE[ImmunogurobulinE:アレルギー性の病気の場合に高い値が出る免疫グロブリンの事です。ジョンホプキンズ大学の石坂博士が世界で始めて発見しました。]と卵なら卵の黄身とか白身にたいしてアレルギーがあるか、又どの程度にあるのかについても血液である程度解る時代になりました。これを特異的IGE抗体と呼びます。今までは保険の制約が厳しくて、5種類しかできませんでしたが、最近MAST法と言う検査方法が開発され16種まで検査が可能になりました。特異的IGE抗体が、卵の白身にあったと仮定しますと、その患者さんは卵を食べるといろいろなアレルギー性の反応が起こります。例えばアトピー性皮膚炎が悪化したり、ゼンソクが起こったり、アレルギー性鼻炎がひどく起こったり、下痢をしたり、熱が出たりします。従って一たんアレルギーが起こった食べ物は一年ぐらいは食べないほうが良いということになります。一般的には、事食物アレルギーに関しては、1歳ぐらいまでと言われていますが、慎重に2歳ぐらいまでと私は考えています。従って、例えば『卵アレルギー児』は、2歳ぐらいまでは卵アレルギーを起こすのではないかと考えて、『卵禁2歳未満の『卵アレルギー児』の、男児26名、女児14名に次の方法で卵負荷テストを行いました。固ゆでしたゆで卵をまず少量負荷して、30分〜1時間様子を見て、症状の出なかった小児には更に半分から一個のゆで卵を後日負荷して、48時間家庭で様子を見ました。更に症状が出なかった小児には、連日5日間半分から一個のゆで卵を負荷しました。

結果は、

@負荷後30分から1時間で顔から体全体にジンマシン様の発疹が出た小児は、16名で32%でした。

A負荷後48時間以内に同様の発疹が出てしまった小児は、7名で14%でした。

B何にも起こらなかった小児は27名で、54%でした。

Cまた年齢別の陽性に出てしまった小児は、8〜12カ月児では45.8%で、13カ月〜18カ月児では55.6%で、19カ月〜24カ月では25%でした。

D食べてから症状の起こるまでの時間は、1時間以内が12名、3〜12時間が7名でした。

E食べてから1時間以内に発疹が出た小児には、血清IgE値及び、RAST値[特異的卵白にたいする抗体価]が高い傾向を認めました。

結論は、『卵アレルギー児』に対して卵を負荷するのは、血清IgE値や特異的な卵白に対する抗体価を測定しつつ、19ヶ月以降に行うのが良いだろうという結論でした。

田村の学説:2歳を過ぎてから次の方法で卵の負荷をしていくのが良いと思います。

1:まず食物アレルギー日誌をつける事!。

2:まず始めは、耳かき一杯の固ゆでした卵の黄身を月曜日の朝食に与えてみる。理由はもしもアレルギー症状が出たらすぐに病院に行く事ができるからです。

3:30分から1時間様子を見る。もしジンマシン等が出たら病院に行く事。

4:1日空けてから、即ち水曜日に、更にもう耳かき一杯の卵の黄身を同様にして与える。

5:更に1日開けてから、即ち金曜日に今度は、固ゆでした卵の黄身半分を食べさせる。

6:何ともなかったらその週は終了します。

7:次の週の月曜日には、いよいよ固ゆでした卵の黄身を一個食べさせて見ます。

8:何ともなかったら、水曜日にも同じ量の卵の黄身を食べさせます。何ともなくてもこの週は終わりにします。

9:次の月曜日には、いよいよ固ゆでした卵の白身の4分の一個を食べさせてみます。もしアレルギー性の発疹とかが出たら病院に行って適切な処置を受けてください。何にも起こらなかったら、次のステップへと進みます。

10:水曜日には、固ゆでした卵の白身半分を食べさせます。何も起こらなかったら次のステップに進みます。この週はここまでで終了します。

11:次の月曜日には、固ゆでした卵の白身を一個食べさせてみます。何も起こらなかったら、もう卵は、『OK』となります。

以上、経口的減感作療法について述べてみました。



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