紫外線

第53回小児科医会報告1999年6月12日

 土曜日6時半から『我が愛する』池袋第二小学校の同級会がありました。もう卒業して38年が経ちました。そろそろ出かけようとした瞬間、『ピンポーン』と、医院の玄関のチャイムが鳴り、急患の患者さんが来ました。それも最近流行している『ヘルパンギーナ(夏風邪)』の重症タイプで、『下痢と腹痛、高熱、嘔吐』がひどくて、結局、点滴になりました。

 お陰で1時間以上遅刻しましたが、さすが同級生『ご苦労様でしたね』と優しい言葉をかけてくれました。涙が出るほどうれしかったのは、年の行ったせいなのでしょうか。ありがとうと一杯飲んでしましました。

 10時半頃に終わり、2次会は盛り上がりました。で、結局、愛するおカアチャンの元に帰ったのは『午前様』と相成りました。日曜日は6時起床で『眠い目』をこすりながら起きて、チャーハンを食べて、急いで予習をして、埼京線で新宿まで行き、地下鉄丸の内線で一駅目の西新宿(東京医科大学病院前)で降り、臨床講堂で行われた『第53回東京小児科医会学術総会』に参加しましたので報告します。講演の先生の意見も入れ自分自身で調べたことを以下に記します。

 紫外線と皮膚癌:神戸大学医学部皮膚科学教授の市橋正光博士の発表です。   『日光浴』は体に良いか?:最近『オゾン層の破壊[南極上空はほとんどオゾン層が消失してしまっています]』が問題になっているので、調べたので文章にしました。

 1:『健康の維持増進には、日光浴が必要である』と最初に説いたのは、ギリシャの学者であるHerodotus[ヘロドトス:B・C(紀元前):484〜452年]であると言われています。我が国の『日光浴信仰』は、元禄時代の育児書『小児必要養育書』に『日光浴をすると風邪を引かない』と書かれているのに端を発しています。

 これらを積極的に支持するような科学的な発表論文は見当たりません。このことから『日光浴信仰』は科学的ではないと言う事は少なくとも言えると思います。

 2:『光』について考えてみましょう。1998年度版朝日新聞社『知恵蔵』より。

 光波[Light wave]:電磁波のうちその波の長さが、1ナノメートル[1メートルの10億分の1]から1ミリメートルのものまでを『光』と呼ぶそうです。余談ですが、『キロ』は『1000倍』を、『ヘクト』は『100倍』、『デカ』は『10倍』を意味し、『デシ』は『10分の1』、『センチ』は『100分の1』、『ミリ』は『1000分の1』を、『マイクロ』は『100万分の1』を意味し、『ナノ』は『10億分の1』を意味します。  『光』には、@紫外線、A可視光線、B赤外線が含まれます。

@紫外線:波長の長さから次の3種類に分類されています。 UV−A[320〜400ナノメートル]、UV−B[290〜320ナノメートル]、UV−C[280ナノメートル以下]です。UV−Aは、波長[波の長さ]が長く、皮膚の真皮まで到達します。毎日浴び続けると真皮内の繊維が変性し、弾力が失われて『お肌の老化現象』が起こります。また、メラノサイト[色素形成細胞]を活性化して、シミ、ソバカス等を生じます。

UV−Bは、波長の短い紫外線で『表皮』に炎症反応を引き起こします。海水浴、スキー、ゴルフ等で起こす日焼けの事で『レジャー紫外線』とも言います。将来の『お肌の老化を確実に作り』なおかつ『皮膚癌の発生』を促します。

UV−C『レントゲン線』は、『オゾン層』で吸収散乱されて地表には到達しないとされていました。が、近年その『オゾン層』が消滅してしまったために、皮膚ガンや日光性皮膚炎等の病気が増加しています。

3:果たして日光浴は『骨粗鬆症』に取って有意義な事なのか? 疑問に思ったので調べました。日本医事新報10月14日号からの抜粋です。皮膚には活性型ビタミンDの前駆体[まだ働かない前状態]の『プロビタミンD[7−デヒドロコレステロール]が存在していて、UV−B[紫外線B]の働きでプレビタミンD3[活性型ビタミンD3]に変換されます。

この紫外線Bによって生産される、活性型ビタミンD3量は、紫外線に暴露し24時間後にはっきりとした『紅斑』ができあがる全身照射で、照射前の10倍になります[約20ナノグラム/ミリリットル]これは経口的に活性型ビタミンD3を1万IU以上摂取したことになる[1日の必要量は200IU]。

 高度医療では経口的には十分な量のビタミンD3量が摂取されています。ビタミンD3をとると言う目的での『オゾン層の破壊された』日光浴は、肌の老化、皮膚がん発生等のマイナス面の方が多いと思います。

 また、普通の生活、お買い物や、お散歩など出て、15分以上日光に当たっていれば活性型ビタミンDは十分にとれる。要は、オゾン層の崩壊のために昔の日光浴感覚で日光に当たると、お肌の老化が促進され、また、皮膚癌の発生が懸念される。日光浴は不用有害。ビタミンDを体内に取り込むのに日光浴は必要がないし、お肌の老化や将来の皮膚癌発生を鑑みると一理無く、有害。今はお嬢様方に流行中の『真っ黒に日焼けすること』はナンセンス。神戸大学皮膚科の市橋正光博士の報告では、日光に暴露されている時間は『15分以内!』。外出するときは必ず遮光クリームを塗ることを強調していました。

 田村医院では『ヒノキチオール配合の遮光剤』である、『ひのきち君クリーム』か『東医日傘君(ひがさくん)』を勧めています(オリジナル)。一般の医療品店買うときはスーパーサンスクリーン(アクセーヌ社)、ソフィーナシリーズのSPF30以上(花王)、レイセラシリーズのSPF30以上(ノエビア)などがあります。

 これから海水浴シーズンですが、特にアトピー性皮膚炎の人は『お肌を有害紫外線から守る必要が』大です。ひとによっては、一時的な『アトピー状態の改善が見られる場合』がありますが、これは有害紫外線による一時的な皮膚の免疫状態の低下で、後から『帯状疱疹』や『ヘルペスが吹き出る=カポジ水痘様発疹症』や、『アトピー性皮膚炎の更なる悪化』招く危険性があります。

 従って夏は、外出するときは長袖の肌着を着る事。紫外線よけのクリームを塗ること(SPF30以上)。海水浴で痛くなるほど皮膚を焼かない事。海水浴は日が暮れてから行う事。パラソルで紫外線を防ぐ事、等をお勧めします。

 特に0歳〜5歳までの紫外線の暴露の経験が将来の皮膚癌発生に関して重要な要素であることを、『オーストラリア移住者』の統計で証明しました。



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