先生。しゃっくりってどうしてでるのですか?
先日、またまた難しい質問を受け、困ってしまって調べました。
しゃっくり[吃逆:きつぎゃく]:まず『広辞苑』で調べると、『横隔膜の不時の収縮によって、空気が急に吸い込まれる時に発する特殊な音声。さくり。しゃくり』と書かれています。医学大辞典には書かれていません。大塚敬節先生の『漢方診療医典』には、治療方法まで懇切丁寧に載っていた。先生の実地医家ぶりが伝わってくる。
えつ[漢字がワープロにない為に手書きをする]とも言うそうである。やはり横隔膜の間代性痙攣で、重篤な基礎疾患が原因にある場合と、そうでない場合とがある由。昔、肺ガンの患者さんで、しゃっくりが止まらなくて困った事を思い出しました。原因は、大部分は、横隔膜の痙攣ですが、何故痙攣が起きるのかについては研究がありません。
この『しゃっくり』で数十年も悩んでいる人もいると先日新聞で読んだ事があります。基礎疾患を検査することも大切です。
治療方法:おばあちゃんから聞いた方法、大学の先輩から聞いた方法、漢方の恩師である山田光胤先生から聞いた方法、大塚敬節先生からの方法、どれも試したら良いと思います。なんでもチャレンジです。そう、この『チャレンジ精神』が私が最も好きな言葉です。
1:おばあちゃんから教えてもらった方法:まずお椀を用意します。それと割り箸2本。お椀に割り箸を十字に置きます。そして4分の1の所から一口ずつ一気に水を飲んでゆきます。すると、4回即ち一周飲んでゆくとあーら不思議、『しゃっくり』は止まってしまいました。僕自身が経験した『しゃっくり』は、この『おばあちゃんの方法』で治りました。
2:先輩の医者から大学院の学生研修医時代に聞いた方法:横隔膜をマヒさせる麻薬の燐酸ジヒドロコデインを飲む方法。これは良く効きますが、麻薬なので取り扱いが面倒であり、副作用として、便秘やイレウス症状がある。以前、研修先の『目黒の病院』で、『肺ガン』の患者さんが『しゃっくり』を起こし、治そうとこれを投与したところ、『マヒ性イレウス』を起こした事があります。その他セルシン、ウインタミン、フェノバールの投与があります。残念ですが、自分が使って『効いて良かった』という経験がありません。
3:腕時計がある場合は、『しゃっくり』が起き、次の『しゃっくり』までの時間を計り、その時刻が来る2秒前から、鼻をつまんで一気に『お茶または水』を息を止めて息の続く限り飲み続けると治る場合があります。自分自身での実体験から考えました。
4:大塚敬節先生は、『しゃっくり』と言えば『柿のへた』を思い出す、と述べています。漢方薬では、@呉茱萸湯[ごしゅゆとう]:呉茱萸3g、人参2g、大棗4g、生姜4gA 橘皮竹茹湯[きっぴちくじょとう]:橘皮4g、竹茹2g、大棗6g、生姜6g、甘草3g、人参1・5g。又柿の蔕[へた]を煎じても良く効くと述べています。
5:山田光胤先生には、調胃承気湯[ちょういじょうきとう:便秘傾向のある人に良い]を使ったらと教えて戴き、とても良く効いた経験があります。その他、小承気湯[しょうじょうきとう]、四逆湯[しぎゃくとう]などがあります。
いずれにしろ、昔から人間が存在した限り、『しゃっくり』という病態はあったのですから、漢方療法に軍配が上がります。最近の西洋薬は、保険制度ですぐに薬価が下がるためか、アメリカ的な資本主義のせいか、しょっちゅう新薬が発売されるので、すぐに信用せずに十分に吟味してから採用しています。